2014年10月15日水曜日

MORAstylos  Slow〜slow〜* その1

さて、随分と間が空いてしまいました。

書く時というのは、何かが一段落した時なので

落ち着いた良い時間でもあります。

間が空いた、と言うことは

たくさんの出来事があり

それについて考えたり

彼方此方と動いていたと言う事なのですが

実は今もアタマの中は一段落ついてはいません。


昔ならこんな時、煙草を深く吸い込んで

ふーっと吹き飛ばせば、きっと答えがみつかったけれど

盟友のはずだった煙草に別れてを告げてもう9年近い

今更縁りを戻す気にはなれないのだから

冷めた珈琲を啜りながら、PCに向かって

無理矢理にグイグイと書き進めてしまえば

何か見えてくるかと思い

出来事の断片を眺めていると云う訳です。


〜*〜*〜*〜*〜



今年の夏のはじめ頃。

突然フランスから一通のEメールが届きました。

英文だったので、また迷惑メールかな?と思い



削除しかけた・・けれど



こんな写真 (古瀬が撮ったカタログ写真) が添付されていたので

なんだなんだと、読んでみると

『 Mora stylos 』というパリの筆記用具屋さんからです。



*「パリの『Mora stylos』でのイベントにいらした


『 中屋万年筆 』の Nib master 吉田 伸一 様がお使いになっていた

CORBO.のペンケースを是非お店で取り扱いたい。

良い返事を待っています。」



という内容でした。

とても光栄な事ですが

僕はこれまでほとんど、万年筆とは縁がなかったので

すぐに『中屋万年筆』と検索してみました。

へっ!?

高級万年筆ではないですか・・。



上の写真の通り、このペンケースに入れているのは

普通のシャーペンやボールペン、ラミー

カッターやSDカードなどです。

ちょっとカッコ良くて、気軽に使えるペンケースをと

バイクの『 Tool Roll・ツールロール 』をイメージして

デザインしたペンケースですから・・・

高級万年筆を入れて大丈夫なの!?ですか?

と不安になりました。

『中屋万年筆』吉田さんは職人さんですので

直接お聞きすれば不満や改良点など、ご意見をうかがえるかもと思い

すぐに電話をかけようとしたのですが

作業優先で、問い合わせはメールのみとの事でしたので

早速、メールを送りました。


吉田さんはすぐにお返事を下さいました。

神宮前二丁目のお店でペンケースをご購入いただいたこと

4〜5年間ずっとご愛用いただいており





「高品位で非常に愛着を感じております。

また、個性的であるところにも強く惹かれます。」

と書いて下さいました。

また『Mora stylos』というお店は

「店舗の規模としては大きなものではありませんが創業は1930年で

パリの中心部に店を構えており高級筆記具(主に万年筆)をメインに扱っております。

良い店であると思いますので前向きに考えてください。」


近日「 二子玉川の伊東屋玉川店(玉川髙島屋4F)で
実演をしているので、ご都合よろしければお立ち寄り下さい。」

とも書き添えてくださいました。


こうなると僕の場合、足の方が先に動いてしまうので

すぐに二子玉川へ、吉田さんに会いに飛んで行きました。


文房具屋さんの匂いは落ち着きます。

お店の中央、万年筆がズラリと並ぶケースの側に

スーツの店員さんたちの中に

ひとり作業着を着た人がいます。

僕もこれまでたくさんの職人さん達と仕事をしてきたので

なんとなくわかりました。


「吉田さんでしょうか?」と声をかけると

逆に喜んでいただけたようで恐縮してしまいました。

お使いいただいているペンケースを見せて下さいました。

とても良い感じに手にもペンにも馴染んでいました。

早速、お仕事の邪魔にならないように

手短にいくつか質問させていただきました。

古「何か問題とか気になるところはありませんか?」とお聞きすると

「もう4〜5年くらい使っているかなぁ、海外にも持って行きますけど、何も問題はありませんよ」


古「ありがとうございます。」
「でもまぁ、そうは言っても本当は何かあるんじゃないですか?」

吉田さん「いやいや本当に良いですよ」

古「実は前回の展示会でリニューアルして少し値上がりしてしまったんです。大丈夫でしょうか?」

吉田さん「このクオリティなら全然大丈夫だと思いますよ」

と言っていただいたところに

お客様が愛用の万年筆のペン先を調整しに来店されました。

「また神宮前のお店に行きますね」

と握手をしました。


吉田さんは前掛けをピッっと縛って席に着きました。

遠目に少しだけ拝見しましたが

やっぱり職人てのはカッコイイです。




こちらが『 中屋万年筆 』のNib master 吉田 伸一 さん

右手にあるのが吉田さんご愛用のペンケースです。

慌てて撮ったから、よく見えないので

拡大!



ペンケースもいい味出てますが

吉田さんの指にインクが染みついているのが見えますか?

職人てのは格好良いです。


つづく