2014年3月18日火曜日

心の片隅の真ん中



映画館で本編が上映される前に流れる予告編がけっこう好きです。

特に印象に残った作品は、何ヶ月か後にレンタルDVD店の棚を

ボォ〜っと眺めていても不思議と目にとまるようです。


先日「まだまだ新作」という棚の片隅で、なんとなく目にとまった



原作 吉田修一
監督脚本 沖田修一 




何となく借りて、何となく観てしまった。

ゆったりと空間に包まれていく感覚

ゆっくりと流れる160分の長編が心地よくて

包まれたまま10日間ほど過ごしていました。


原作者の吉田修一さんはなんで

このぼやけた時代を切り抜いたんだろう?

あの時代を過ごした同世代だから、自分は共鳴しているのか?

そうではないのか?

ビールでも呑みながら誰かと話してみたい。


〜*〜*〜*〜


2月のはじめ頃

こんな「お問い合わせ」がありました。


〜*〜*〜*〜


[ ご用件 ] 

ブリーフタイプのバックの修理をお願いしたいです。

数年前こちらを拝見したときはまだ同じ物を作っていたようですが
今日見たら見当たらなく鞄の名前がわかりません。

13年前に◯◯駅近くのデパートで購入した記憶があります。
帆布地のオリーブ色の鞄です。

とても気に入っていますし、新品が無くなってしまったようなので
是非修理をお願いします。


〜*〜*〜*〜


メールでのやりとりをさせていただく中で

いただいた一通のメールを読んでいて、ふと

ゆったりと空間に包まれていく感覚があるのに気づきます。


〜*〜*〜*〜


古瀬様


先ほどコンビニで発送して来ました。
火曜日に到着のようです。


コンビニで発送時に修理箇所を明記する必要に気付きまして…

とりあえずとんでもない値段でなければ
しっかりまた10年使えるように直して下さい。


コンビニに歩いて行きながら、色々思い出していたのですが


購入時は社会人から学生に戻る大決断をし
通学、そしてその後、就職しても使えるようにと
決して安くありませんでしたが(笑
しっかりした作りとデザインに一目惚れして購入しました。


その後無事 卒業、就職、結婚、転職、離婚、再婚、出産

マイホーム購入、等様々な書類を放り込んで

いつも私の傍らにいました。

購入した私の決断は間違ってなかったですし

立派に耐えてくれた鞄に感謝です。

そんな鞄なので是非とも修理お願いします。



〜*〜*〜*〜



13年間と聞いていたので、かなり覚悟はしていました。

でも、届いた鞄は10年以上ご使用になったとは思えないほど

大切にご愛用いただいたコトがわかる顔をしていたので


「 これならいけますね 」とうなずいて取りかかります。


CORBO.works の職人 皆川さんの丁寧な仕事と

帆布へ蝋を入れ直した仕上りは上出来でした。



お修理が済んだ江口さんの鞄





早速ご返送すると・・・


〜*〜*〜*〜


古瀬様


こんばんわ! 鞄届きましたよ



ほぼ新品、そして私の鞄だけのオリジナル


もちろん気に入りますとも



また10年使いますからご心配なく!



内張りもキレイに直して頂いてありがとうございます。



丈夫に作って頂いたおかげで


思い出もどんどん詰め込まれて行くわけです。


物も、思い出も、お陰様で沢山詰められましたよ。



これからも素晴らしいモノ作り頑張って下さい。



ありがとうございました。



〜*〜*〜*〜






「 思い出の片隅の真ん中で、彼はいつも笑ってた 」という

 『横道世之介』の予告編 のナレーションが


何故だか、ふと

頭の片隅の真ん中をよぎりました。